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聖光学院懇談会

6月19日実施

【布施真】

 啓明舎代表の伊藤の話で始まった懇談会。聖光学院の歴史概略から出題傾向まで多岐に渡ってふれる。問題にバラツキがなく、実力通りの結果が出る学校であるという話は男の子を持つ保護者のためにも、特に強調しておきたい。現校長のトマス・トランブレ先生はフランス系カナダ人。校長先生曰く、騎士道=武士道であると。日本の最もよき部分を理解している人はなぜ外国の人ばかりなのか、という話は耳が痛かった。そして、工藤教頭先生は、私学発祥の地である東京・神奈川において、その神奈川私学のリーダーとなり、邁進していると話を結び、マイクは移る。

 どの学校の先生の話を聴いても思うが、聴衆を引き込むのが実に上手い。当たり前の理由はいくつも浮かぶが、工藤教頭先生(以下工藤先生)もご多分にもれず、聴衆をぐっと捕まえて離さない。自身の受験体験や子育て体験を随所に交えながらの話は子育て一年生である私にとっても非常に有意義であった(偉そうな物言いであることは承知しております、ハイ)。これが子育て十何年生の啓明舎の保護者であれば、尚更オーバーラップさせやすいだろうことは想像に難くない。講演の間中、笑い声は絶えないのは必然とも言える。

さて、そんな工藤先生の話題で印象的なものをまとめてみる。まずは私立と公立の比較では、公立が無償であることを強調した上で、わざわざ私立を選ぶのは子息への期待と公教育における現実とのギャップ故とバッサリ斬り捨てた。公立校については、各校の自由裁量が制限されている中では、改革は言われているほど進まないと考えているということまで言及された。例えば、公立校における教員の移動が定期的になされる点などもそれに加わる。ちなみに、聖光学院には工藤先生の恩師がまだ14人在職中であるとのことだ。このようにしてこそ、校風等に継続性が生まれるのだろう。もちろん、教員の選抜レベルにも自信があってのことだ。さらに、小学校でも担任の名前を聞いて、アタリ、ハズレを確認していることからすると、儒教思想である「三歩下がって師の影を踏ます」というのは遠い昔のことだと述懐した上で、勿論、親にもアタリ、ハズレがあろうが…、という話は非常に笑えた。

聖光学院の実際に目を向けると、教員間の責任の所在が明確にしているとのことだ。そのためにも、すべて一人でやらせ、かつ専任教員の授業時間数も週15〜16時間と、公立校の週20時間以上よりよい環境を用意している。結果もハッキリ出すので、目的意識を持たざる者には到底勤まらない。教材も学校全体では作らず、個人で作らせているのもその表れなのは言うまでもない。他方、生徒に目を向けた話にすると、工藤先生らしい言い回しが連発される。囲碁・将棋、オーケストラは学校全体で目立たない子(うん、私もそう思うし、思っていた)、卓球・軟式テニスはおとなしい子(うんうん、これも本当そう思っていた)が多い。学校の先生が言うのを初めて聞いたがすご〜く笑えた。こういった生徒も含め、いかに生徒の個性を学校組織と言う運営体の中で認めていくか。かつ学校組織のルールを理解させた上で。矛盾するようなこの問い掛けも、工藤先生が話すと簡単に実現可能なような気がするから不思議だった。勿論、聖光学院はもうとっくにそんなものは実現しているが。

続いて、他私立校との比較については、栄○学園は東京の子があまり好きではない、と過激な話からスタート。これが序の口に過ぎないのは、東京には一日御三家組にとっての魅力的な二日校がないのでは? という問い掛けの中で、巣○や○城との比較を展開するあたりで明らかとなる。これは懇談会ならではの醍醐味ということで詳細については触れないでおこう。○城2次の試験日程をとぼけるあたりは、「役者だな〜」と感じさせる一幕であったことだけは付け加えておく。東京も十分に通学圏であるということは、聖光学院独特の地区保護者会が世田谷、目黒、品川他で実施されている点からも推測される。生活指導についても、お寺や海軍兵学校の流れを汲んでいる学校とはちがうとのこと。

また、一般論として、放課後補習をやっている多くの学校を選択する際の警鐘として、クラブと補習の両方はこなせない、という受験生の保護者が見過ごしがちなことを力説されていた。成績が悪いからと言って、「クラブをやめろ」はおかしい。整合性のある話の学校を選んでほしい、という想いは痛いほど伝わってきた。聖光学院は225〜250番の子が居心地のいい学校作りを心掛けている。その上で、進学実績を出す必要がある。進学先として、世間で名前を出すのに抵抗感がないのは、慶應・早稲田までだろう。聖光学院は200番台でも慶應・早稲田は可能であり、かつ170番以上なら確実とまで言い切っていた。高2、高3では補習もしっかりやるので、外に出て講習を受ける必要がないことも付け加えておこう。

最後に、私が工藤先生の話を聞いて、もっとも印象に残ったことに触れて終わりにしたい。工藤先生は教頭先生になる前の数年間、事務局長をやっている。しかもうち3年間は教務を離れ、事務に専念されていたそうだ。この当時を振り返った上で、この仕事が現在あるゆる面で非常にプラスに働いているということを、例を交えて仰っていた。苦は楽の種というか、人間万事塞翁が馬というか、待てば海路の日和ありというのか、適当なことばが浮かばないが、どんな局面においても、前向きに捉えていく姿勢にこそ、聖光学院の精神が表れているのだろうと感じた。一人の人間として、ぜひ見習いたいものだ。

【布施真】