【算数】
いわゆるサンデーショックの昨年, ひたすら計算する問題ばかりを並べた雙葉。 今年はうってかわって厳しい問題を集めてきた。 中でも圧巻は〔4〕と〔6〕の2問。 〔4〕に関しては数値処理の煩雑さだけならともかく, 後述のように(2)は小球7個ずつの差に着目しないと悲惨なことになる。 〔6〕も(1)の既約分数を数えるのはともかく, (2)はやはりキツイ。 もっとも,合格のためには,これらの難問を思いきって空欄にしてしまうことである。 今年の合格最低点が四科で169点(56.3%)であることからも, それは明らかである。どちらも力作であるだけに, 1問は来年度に残しておいてほしかったものだ。 〔1〕はただの計算。「丁寧に・堅実に」は雙葉受験生ならずとも心がけるべし。 〔2〕では,各駅停車が実際に走っていた時間は40分であること, また,EG間について, 各駅停車と特急の実際に走っていた時間の差が5分20秒である ことの2点に目を向けることができれば,難しい問題ではない。 速さの比と時間の差に着目する速さの問題は, ぜひともマスターしておきたいものの1つである。 〔3〕は昨年からの流れをひきついだ計算問題だが, 円弧の部分を(@+A+B+C+D)×3.14とまとめて計算するぐらいの工夫はするべき。 小数第2位四捨五入という指示にもきちんと従うこと。 〔4〕は小球7個と大球1個の29mmの周期で考えるために, 留めがね2個分,小球10個分,大球1個分を別にして考えられるかどうか。 別にした分の長さの和が60mmになるのはちょっとうれしい。 11周期ではまだ40cm(周期の部分だけなら34cm)に達しないので, 12周期つなぐことになる。もちろん,別にした分を加え忘れないように注意したい。 まさに「丁寧に・堅実に」の雙葉らしさあふれる1問。 そして(2)。1周期=29mmずつ長くなっていくのだから,使っている小球の個数は, A:94個,B:94+7=101個,C:94+7×2=108個となる。 できるだけネックレスを多く作りたいという条件から, Aを多くすることになるので,8300÷94=88あまり28, つまり全部で88本作れる計算で, 余りの28=7×4をB,Cに振り分けていくと, (B,C)は(4本,0本),(2本,1本),(0本,2本)の3通りが作れる。 と,つい解説をしてしまいたくなる問題。 不定方程式に持ち込むと厳しい。 「とばして良かったね」という声が聞こえてきそうだ。 〔5〕は一転してラクな問題。 「水そうをいっぱいにする」に揃えれば, (1)は易しい。 (2)も(1)で求めた数値を用いて比の計算問題。 合格のためにはここは落とせない。 〔6〕は「作業をしなさい」ということなのだろうか。 もしそうなら40分の試験時間で答えられるのは, (1)の5周目が終わったときにシールが貼ってある点の数までだろう。 (2)は7周目以前はすべて上に重ねられてしまうので, 残っているシールの色は8周目から15周目までの8種類になるが, これも作業でこなすにはしんどいレベル。 桜蔭受験生なら(1)は「23周目が分母24の既約分数の個数」でガシガシ解くだろうが, あくまで「丁寧に作業しましょう」が雙葉受験生に求められる資質だとするなら, この問題はとても時間内では終わらない。 ここを解かずに前半の見直しに時間を使うのが,正しい雙葉の受験生だろう。 全体を見ると〔4〕にしても, 〔6〕にしても「桜蔭っぽい」問題。 これを「丁寧に・堅実に」の「雙葉的アプローチ」でこなすのは非常に厳しい。 来年度はあこがれの雙葉を目指してがんばってきた子達が報われる問題を, 昨年とは逆の意味で期待したい。 【国語】
〔一〕の詩について。 定番である「まどさん」の作品からの出題。 やぶ蚊を題材としてユーモラスな調子で<夏の風物詩>を描きながらも、 小さな命への眼差しを忘れない姿勢に貫かれています。 生きとし生ける全てのものへ注ぐ太陽の光のごとく。 まど・みちおの作品世界における「自然との交歓」というテーマは、 雙葉特訓で扱う重要課題の一つ。 「勝手知ったる」わが特訓受講生は落ち着いて取り組むことができたことでしょう。 「ゆかたすがた」と描写される様子や、 羽音を「はなうた」と表現されるところから、 作者がヤブカに対して親しみをもって接している点を理解するように。 〔二〕の文章は大林宣彦の論説文的随筆。 2003年度に「説明文」が出題されていたこともあり、 「物語文じゃない!」と慌てた受験生がいたとすれば、それは対策不足。 むしろここ数年の雙葉の入試問題の傾向をふまえれば「二番に説明的文章」はさもありなんと言える。 「一番の詩の問題」で十分に文学的感性は問えるのだから。 さて、ここで求められているのは作者による「文化」と「文明」の違いについての説明を 丁寧に追跡する力。 注意すべき点は一般的な「概念」による理解を持ち込まないこと。 あくまで作者による「説明」に素直に従うこと。 「文明=科学 VS 文化=芸術」というシンプルな図式こそ、 作者の強みであることを理解しよう。 この二元図式を派手に使って整理するならば、 「文明」の系統に連なる言葉は「便利・快適・観察・理解・情報として捉える」、 「文化」の系統に連なる言葉は「不便・我慢・想像・思いやる」。 二十世紀を「科学文明の世紀」と捉えるとともに「戦争の世紀」でもあったと考える作者が、 「文化=芸術」によって二十一世紀には「真に人間の幸福」が追求されるべきだとする論旨にたどり着くことは必然。 このいたって明快な論理展開を追跡できない受験生は 「論説文対策」云々よりも「読解の基礎」の点で不安を抱えていると言わざるを得ない。 〔三〕(1)は設問の形式に何らかの工夫がされているわけでもない、 ただ「次の文章を読んで、漢字に直せるところを直しなさい」という問題。 しかしながら読まされる文章が謎。不況にあえぐ零細工場が、 職員一丸となって努力して、V字回復を遂げるというストーリー。 なぜ?と考えることなく「漢字」に直す作業を続けるしかない。 (2)は「パズル」的に熟語を組み合わせて「共通して入る漢字」を見つけ出すという問題。 1「文脈・山脈・葉脈」2「反逆・逆転・逆風」 3「道筋・筋肉・鉄筋」4「故意・故障・事故」5「傷口・負傷・感傷」。 これで「国語力」が試されるとは思えないが、 こんなところで「合否」に影響が出てはたまったものではないので、 「最近の雙葉の<へんな>知識問題」もぬかることなく対策しております。 これを<ふつう>の知識問題と捉える向きもあるようですが、 やはり<へんだ>と思える感性を特訓では大切にしていきたいと思います(笑)。 【理科】
本校の理科は、以下に示すように、 大問数、設問数、問題用紙の枚数、解答欄の箇所、 いずれも、ここ数年安定していませんでした。 しかし、今年になってその傾向がどうやら固まってきたようです。
ここ2〜3年で、大問数、設問数ともに増え、 さまざまな分野の問題が出題されるようになってきました。 今年は、雙葉の理科の顔とも言える生物実験読み取り問題が復活しましたが、 ポイントになる設問だけに絞られ、 類推力・記述力を端的に診ることができる問題に仕上がっています。 また、〔2〕の力学計算、〔4〕の地層についての出題は、 決して難しくはありませんが、 本校では過去十数年近くほとんど出題されていなかった分野からの出題だけに要チェックです。 この2分野の問題は、どちらかと言えば、定型的な解法にのっとり解き進むだけの問題が多いので、 “義務においては堅実に”の校訓通り、 身のまわりの日常から自分の眼で普遍なるモノを見出す姿勢を重視する本校において、 生物・化学実験に力点を置いた出題が多かったのは当然と言えるでしょう。 他方、人気上昇とともに、処理能力の高い、鍛えられた受験生を獲得する為には、 雙葉独自の観察問題をコンパクトに濃縮し、 他の分野の出題も多くし、総合力を診ようとする出題にシフトし始めるのも、 また必然の流れと言えます。 〔1〕は、数年前まで毎年出題されていた、 実に雙葉らしい生物実験に関するデータ読み取り問題です。 問題用紙2枚にわたっていますが、それでも以前の観察問題より分量は少なめです。 久しぶりに登場したキャラの葉子さんが、アリの活動に疑問を持ちます。 そして、夏の暑いさかりに、15日間休まず、朝の6時から夜の9時まで15時間もの間、 1時間ごとに、アリの活動の観察と、気温・地温の測定を堅実に続けるのです。 設問の(1)〜(3)は、その生々しい観測データから、 アリの種類と、気温と最多活動時間帯の関連を読み取らせるものです。 問題の2枚目では、大きさの異なる煎餅のかけらに群がる3種類のアリの観察記録を参考にして、 順位性について述べた文章の穴埋めをさせています。 また、最後の設問では、アリの行列のすき間に棒切れで地面に線を引いたところ、 アリは右往左往して行列は途切れてしまいましたが、 その理由について、仮説とそれを検証する実験方法と実験結果について記述させています。 ごく基本的な知識を問うような設問はそぎ落とされ、 理科への興味の幅を診る記述問題も設定されています。 〔2〕の力学計算、〔4〕の地層の観察に関する設問は、 よく見かけるタイプの問題で難度の高い出題ではありません。 また〔3〕は、本校の定番とも言える実験器具の使い方に関するものでした。 全体的に今年の問題は昨年・一昨年と比べ易しく、 理科では点差が開きにくかったと思われます。 しかし、前述のように、全分野から出題され、 さまざまな能力を診るテストへの変貌のスタートであり、 次年度以降決して楽観はできません。 【社会】
〔一〕は歴史の問題。 古代からの日本と「外国」との関係をテーマに、 各時代の外交史を大まかにさらうというつくり。 空欄補充問題はアッサリと埋まります。 よもや「朝鮮通信使」と「満州国」で躓く受験生はいないでしょう。 去年の空欄補充が、 京都の古代の名称「山背」をこたえさせるシロモノだったことに比べるとハードルは低くなってます。 小問に移っても「設問の要求水準」はゆるやかに設定しなおされていますよ。 「内容の正しくないものを二つ選べ」というもの。 去年は「ふさわしくないものをすべて選び」という形式でした。 「本当にこれで全部かしら…」と気に病んで次の問題に進めない受験生が後を絶たなかったのでしょう。 「受験生にやさしい」問題作りに直されております。 個々の問題のレベルも標準的。 平安時代の末期に「地方政治の乱れ」から 「武士団」が結成されるようになった時代背景の理解が問われたり、 室町時代には農村の自治組織である「惣」が形成されたことを知っているかどうか、 またノルマントン号事件でクローズアップされた不平等条約の内容(「領事裁判権」)を確認できるかどうか、 などなど。いずれも「瑣末な歴史知識」ではなく、歴史の大きな節目における日本のあり方を問うものが並ぶ。 「一問一答」の知識を詰め込むのではなく「通史」を学ぶ意味を知る受験生にとっては 力の発揮できる問題であると言えるでしょう。 〔二〕貿易の問題。 雙葉らしい問題が散見される。 例えば「港にはいろいろな呼び方がありました」と歴史的な用法を絡めた出題。 「津」「湊」「泊」いずれも「地名」に残るもの。 このあたりは「地理・歴史融合」で授業を展開しているわれわれの強みと言える。 また、港で「岸壁や桟橋があり、 コンテナなどの積みおろしや人々が乗り降りをする場所全体」を何と言うか?という問題も。 埠頭(ふとう)なり、波止場(はとば)なりと答えられるかどうかは、 いわば「雑知識」の領域と言えるが、 これもわれわれのオハコ。その他の受験生と差がつくとすればまさにココ。 残りの設問はすべて「次の中から一つ選べ」の選択問題。いずれも基本事項の確認レベル。 〔三〕は2004年の時事問題。アメリカでの大統領選挙やイラクへの軍隊の派遣、 またアテネオリンピックなど「おまけ」的な寄せ集め問題。 リード文と呼べるほどのものもなく、要は「知識の確認問題」。 「内閣総理大臣の仕事ではないことをすべて選べ」という出題が昨年度の形式を踏襲しているだけ。 出題の殆どは「どこかで見たことのある」オーソドックスな問題で占められる。 受験生は何よりも基本事項の定着を徹底させること。 「繰り返し、倦むことなく、ひたすらに」の精神で取り組めば雙葉への道はひらかれることを心に刻もう。 |