【算数】
サンデーショックの翌年にもかかわらず, 820名もの受験生を集めた今年のJGは, 実力差があらわれる良問であった。 あくまで予想の域を脱しないが, 合格者平均68点,受験者平均58点といったところになるのではないだろうか。 〔1〕(2)は,17の倍数に気づけば問題なし。 13の倍数,17の倍数,19の倍数が一瞬で見抜けないようではJG受験の資格はない。 (3)はコースの長さが1500mとなっている分だけ易しい。 1枚目であえてストッパーと呼ぶなら(5)。 1〜120までの中に,0,1,2はそれぞれ何個ずつあるかという,これもよく見かける出題。 数え方をマスターしていれば時間はかからないが, 理解があやふやなままで通り過ぎてきた受験生には十分な足止め問題となったであろう。 (6)の平面図形は予想通りの出題。 ただ,今年は設問のあいまいさがなく,間違えようがないし, 決して落としてはいけない問題となっている。 (5)をとばせば6〜7分程度で通過できる1枚目である。 〔2〕はおなじみ「歩幅と歩数」。 (1)(2)ともに距離が同じなら,歩幅と歩数の比は逆比であることから考える。 典型題として扱う場合には「歩幅の比×歩数の比=速さの比」から考えさせることが多いが, その作業をさせないことが「典型題暗記少女」を弾く結果となったのではないだろうか。 もっとも線分図をちょっと描くだけで,すぐにわかることなんだけどね。 〔3〕(1)は最初の問いにだけ答えて,2個目のマスはパスして通過したい。 40分の中で,どの立方体が取り除かれたかを考えているのは時間がもったいない。 (2)は長方形全体を300とおいて,長方形の中の点が, 左の辺上なら75,右の辺上なら50となることから, 68(=17×4)の位置を発見したい。 (3)のJG必出の角度問題は,ちょっと考え過ぎ。 過去に全く同じ出題が他校であったことが問題なのではなく, 「折り返し?」と勝手に思い込んで(実際に内側に折り返せるが)解けば, 答えは出てしまうというのが納得できない。 来年度は「二等辺三角形の発見」をテーマにした華麗なる角度問題をぜひとも期待したい。 〔4〕は3枚目の上段,いわゆる「華」の問題。 点の移動の中ではちがった着眼点での出題となっているが,これも他校の過去問の焼き直し。 (2)のあとに,「(3) 初めてAの位置で玉がはね返るのが12回目に壁に当たるときになるのは, アの角度が□度のときです(あてはまる数をすべて答えなさい)。」という出題があれば, 厳しい1問となっていたのに…。既約分数に着目して解くというのは, 難関校受験生には定着させておきたいパターンの1つである。 〔5〕も点の移動というのはいかがなものか。 JGお得意の「密閉水そう」または「水そうグラフ」あたりを 持ってきたほうが問題全体としての完成度は上がったと思われるが…。 (1)はようやくでてきた円周率計算。 今年はここまでに時間を使いすぎてしまった受験生が多かったと思われるだけに, 焦る気持ちの中での3.14の計算は辛かったと想像できる。 (2)の立体図形上の移動も「計算が面倒(実は約分しやすくしてくれている)」 「問題文が意地悪(点アを通過してから,と,点アを出発してから)」という仕掛けがあり, 3つあるマスのうち,2つまで埋められたら十分ではないだろうか。 過去の例から考えると来年もこのテンションが続くはずである。 とすると,算数で稼いで合格ラインを越えることも可能なのである。 ただし,JGはおサボリ少女は相手にしないので,ご注意を。 【国語】
〔四〕の漢字問題を除き、枝問までひっくるめて解答欄のマスが50個。 昨年と全く同じ分量。文章量もトータルで5000字を切る程度と押さえられており、 「速読速解」が要求されているわけではない。 取り上げられている文章のテーマも「年寄りの繰り言」(失礼!)に近いもの。 それでは問題は簡単だと言えるのか?答えは否、である。 十二歳の少女に求められる文章読解のスタンスとしては、 むしろ困難であると捉える必要があるのではないかと考える。 つまり抽象力や論理性が読解に要求されるような論説文とは違い、 随筆に特徴的な「脱力系」(つれづれなるままに書き進める)の筆運びに 「素直に一旦は従う」というセンスが求められるという点で。 それは、文章の「枝葉末節」を切り落とし、 「論理の一貫性」や「テーマの一貫性」に基づいて解釈するという読み方ではない。 むしろ「枝葉」だと思われる部分に「面白み」を見出すという読み方であり、 散漫になりがちな論旨を手綱さばきで整えてくる筆者の「味」を理解することであり、 複数の視点でものごとを捉えられる力であると言えるのではないか。 こう考えると、バラエティーにとんだ設問の一つひとつも 受験生の「人間としての幅(大げさ!)」を問うているように思えるではないか。 ではそうした「広角」な設問群の一端を順に探ってみよう。 〔一〕問一は「訓読み・訓読み」の組み合わせでできている熟語を選択肢から選ぶもの。 「厚着」が答え。問二は筆者の気持ちを理解する問題。 「溝に落ちているツバメのヒナを見つけて動けなくなった」→ 「かわいそうでなんとかしたい」の結びつきを捉える。 問三は「くちばしが黄色い」という慣用句の意味。 「未熟」が正解。問四は文脈の把握。 「ツバメのヒナを育てること」ができると筆者は考えていることを掴むこと。 問五は副詞の挿入問題。 「ぴりぴり」と緊張している様子と「もやもや」した胸のつかえという表現を理解すること。 問六は「すくむ」という言葉の意味を問う。 「こわくて縮こまってしまう状態」が答え。 問七はまわりから「非難」と「好奇」の目で見られている筆者のいたたまれない様子を捉える……。 このような感じで〔二〕〔三〕まで合わせて50個の解答。 それぞれの文章のレベルも大差なく、設問の種類も万遍なく、という調子。 JG合格を目指す受験生のレベルを考えると、国語では「高得点・団子レース」の様相を呈することは明らか。 そんな中で「球種の多さ」に惑わされることなく、 一つひとつの設問を「より正確に」「より丁寧に」こなせた者だけが 生き残っていったというシビアな選抜が繰り広げられたことは想像に難くない。 「興味の幅を広げる」とはよく言われることであるが、 そのことの持つ意味を真面目に受けとめられる少女だけが 「JGレディース」の予備軍に登録できるということである。 【理科】
トレンドに流されることなく, 独自の路線(?)で出題を続ける女子学院の理科。 昨年易しくなった反動での難化も予想されたが, やや点が取りづらい部分が増えたものの, 全体を通しては易しいという印象を受けた。 〔1〕は多くの学校が「台風」をテーマに出題している地学分野で, 予想通り天体の出題。 ここ2年続けて気象ネタを出題していたこともあって, JG受験生なら十分に対策をたててきたはず。 そのうえ,問われている内容が基本的なものに限られているため, ここはほぼ満点の通過したい。 2(3)の「角度は自分で工夫して測ること」というのにはちょっと驚いたが, 試験会場でどんな工夫を見せたのか興味深い。 来年度は「地層」が狙われると考えるのが普通であろうが, 地学分野は苦手にすると大きな差をつけられるおそれがあることを肝に銘じて, 日頃からの学習に取り組んでもらいたい。 〔2〕ろうそくの燃え方。 1(1)の「ろうそくの芯に火をつけると,Aの(ア)の部分からろうがとけ始める。」の空欄補充で, JGお得意の曖昧な解答のスタート。 「中心」が正解だろうが,書いた受験生にとっては何となくしっくりこないまま解き進めることとなったであろう。 そして,2はABC問題。 グラフを読んでわかることだけを考えればいいのだが, いわゆる「知識」ではないために,やはり答えたあとの不安感は残る。 もっとも,そんなことを気にしているようではJG受験の資格はないのであろうが。 選択肢の問題として,はっきりしないのが5(1)のエ。 「二酸化炭素ははいた息に多く含まれている」は,はいた息の成分中なのか, それとも呼気と比べてなのかわからない。 「酸素を吸って,二酸化炭素をはく」という程度の知識で来ている受験生は皆無なのだから, もう少し丁寧な選択肢を用意すべき。 〔3〕は唾液の実験。後半で対照させる実験の組み合わせの問題があるが, これは受験生の思考力を見る上で良い問題であるといえよう。 「必要な実験がそろわない場合は×を書きなさい」というあたりはJGらしい作問。 適当にあてはめたら正解になったという偶然を徹底して排除する姿勢がうかがわれる。 あえて苦言を呈すなら, 生物分野をこの実験だけで1ページ作問するのはちょっと無理があるのではないだろうか。 今一つ内容が薄いという印象を持った。 〔4〕は女子受験生のほとんどがイヤな顔をする動力学の問題。 斜面を上から下にではなく,下からばねで打ち上げるという設定は面白い。 しかし,設問内容はいたって平易。実験1の表2の数値があまりにも親切なもの (実験データではあるが整数値)となっているのがその原因。 「位置エネルギー(高さ)」が「運動エネルギー(速さ)」に 変わることだけわかっていれば実験2,3ともあっさりと解けてしまう。 構えてこの問題に取り組んだ受験生にとっては拍子抜け。 最後の大問が解けたことで「理科はけっこうできた」という気持ちにはなれたであろう。 〔1〕〔4〕はほぼ満点, 〔2〕〔3〕で8割程度の得点は多くの受験生が取れたと考えられるので, 合格者平均は昨年同様高くなったはずである。 文中で「易しい」「解ける」という表現を用いてきたが, もちろんこれはJG受験生として最低限の努力をしてきた結果, 易しいと感じたり,実際に解けたりするのであって, 決して,「理科キライだも〜ん」と言っている子が通用するものではない。 今年度,御三家の中で突出した人数を集めたJGだが, そのあこがれを現実にするために, 全分野にわたり幅広い知識を持って入試を迎えなければならないことは, もはや言うまでもないことであろう。 【社会】
一昨年の解答数が97、今年は98。 昨年の解答数76というのがやはり特異なことだったのだろう。 〔1〕のリード文は、出生率低下の問題から、 それを克服したスウェーデンの取り組み(「働く女性が安心して出産できる制度」)を紹介する。 そして「女性の社会進出を促し、男女が平等に働く社会をつくる」必要性、 さらに「男女の格差を積極的に是正して、あらゆる分野の政策決定に女性が参加できるような基盤づくり」が 求められるという主張で締め括られる。いかにもJG。 テーマに沿って、「少子化」、中国の「一人っ子政策」と書かせる。 女子差別撤廃条約の「締結に伴って日本政府が行っていないこと」を選ぶなど。 民法においては戸籍上夫婦別姓が認められていないことを知っていなければならない。 これを含めて、選択肢問題は一筋縄ではいかない。 上っ面な知識では解けない上、たとえば、 「平和に関する」9つの文の中から「すべて選び、記号で答えなさい」という設問がある。 すべての選択肢を素早く読み、瞬時に判断する注意力が要求される。 そして、少しでも多く吟味したり、見直す時間をつくるためには、 基本的事項―法律案の制定(委員会・会期・国会議員)や平和に関する文 (戦力・自衛隊・内閣総理大臣・放棄)などの空欄補充―が定着していることが前提となる。 一つの語句を引き出すのに時間をかけているようでは最後迄たどりつかないからだ。 〔2〕は「名字」をテーマにした6つの短文についての設問が続く形式。 「高床倉庫・公地公民・荘園・源氏物語・刀狩・近松門左衛門・徴兵令」等々 の重要語句が中心に問われている。 とはいうものの27の語句を書き、 2つの簡単な記述(大化の改新後戸籍が何のためにつくられたか・ 1945年沖縄で特に戸籍簿が失われたのはなぜか)に答えなければならない。 中には1872年「名字と名前が記録」される動きの中、 「名字がないままの人」がいたが、 「どのような家の人か」(皇族)といった難問も含まれているのだから、 生半可な力では太刀打ちできない。 〔3〕はいくつかの条件から地名・地図上の位置を問う設問が復活。 ただし、本年度は世界の国々。 世界地図を一目見てあわてた受験生がいたかもしれぬが、 思いの他解きやすかったのではあるまいか。 たとえば、ヨーロッパ。「イベリア半島」を知らなくても、 「フランシスコ・ザビエル」から「スペイン」とわかるし、 「ポルダー」が初見だとしても、 「チューリップ」「鎖国していた日本と貿易を行った唯一のヨーロッパの国」から 「オランダ」と簡単にわかる。 しかも、地図では他に示されているのが、イギリスとスウェーデン。 「東南アジアに位置する国」は二国出されるが(タイとマレーシア)、 地図上ではその二国しか示されていない。 しかし、社会の実力があるものにとってはそれ程ではなかったというに過ぎないのであって、 アルゼンチンとブラジルの位置が分からないようでは問題外ということにはなる。 とにかく、 まんべんなく地理・歴史・公民分野の基礎事項を定着させることは必須。 そして、テキパキと解き進む手際の良さ、パワーを身につけていなければならない。 |