雙葉中学校 科目 算数 国語 理科 社会 合計
配点 100点 100点 50点 50点 300点
時間 40分 40分 25分 25分  

算数

〔1〕 循環小数・濃度に関する問題 難易度A
〔2〕 容積と底面積の計算 難易度A
〔3〕 平面図形に関する問題 難易度A
〔4〕 数の分解・速さの計算 難易度B
〔5〕 平面図形の面積 難易度A
〔6〕 規則性(?)に関する問題 難易度B

今年の雙葉のテーマは「忍耐」。 〔1〕〜〔6〕まで(例年同様の6問構成)難問は含まれていないが, とにかく計算が面倒。 解法にたどりつくまでは,むしろ易しいだけに, いわゆる「頭のいい」受験生よりも, 「丁寧な作業ができる」受験生ほど高得点になる構成となっている。

〔1〕は循環小数の計算。 小数第2位から第4位までが循環する(第1位だけ仲間はずれ)もの。 緊張感が抜けない受験生が「4けたの周期」と勘違いして間違えた…まあ, 少しぐらいはいたかな。 (2)の濃度計算は,食塩の量に着目して計算するだけのものだが, 「36gの食塩水と3gの塩」に「1011gの水」を加えるという解答に 「えっ,こんなに多いの?」と不安を感じた受験生もいたはず。 (1)で27÷185,(2)で8.4÷0.008と小数の割り算2問は, 決して難しい計算ではないのだが,算数を苦手にする子にとっては, 精神的に疲れる問題だったであろう。

〔2〕も実は計算問題。 容器Bの底面積が126cm2で, たてと横の比が2:7だから「126÷(2×7)=9」と求めたのはよいが, この9が長さの比の1ではなく, 「9cm2」であることをうっかり見過ごすとアウト。 とはいえ,よくあるパターンだからさすがに引っかからないだろう。

〔3〕は重なった半円と長方形の面積が等しくなるもの。 ただし,答えが割り切れないので「小数第2位」までを求める問題。 またもや,最後に割り算をして答えを求める形になっている。 何も入試の半分を計算問題にしなくても良いのに…と嘆きたくなる。 雙葉を目指してしっかり勉強してきた子達にとっては, もっと答えがキレイに出る数値にして, 別の問題をあと3〜4問増やしてもらったほうが, 当日の取り組みがいがあったのではないだろうか。

〔4〕は和の分解。 (1)の表形式の解答欄を見て「不定方程式か?」と腰が引けてしまった受験生が どれぐらいいたか。 見た目に騙されず,ちゃんと問題を読んでみることが大事である。 13を4以下の整数4個に分解するだけのもの。 (2)では「運ぶのにかかる時間の差は休けい時間の差だけ」ということがわかれば, どれを使って速さを求めればいいのかが見分けられる。 ただし,運び終わる=4往復でないことには注意しなければならない (3往復半ってこと)。

〔5〕はタイル並べ。 (1)を間違えるようではお話にならない。 ここは完答といわれても文句のつけようがない。 (2)はかげの部分が正方形になっていて, 面積はFの三角形4つ分であることさえわかれば解ける。 特に図形感覚を見ようというわけでもないこの問題の狙いがよくわからない。 和と差の文章題なり,割合の文章題なり,出す単元は他にもあるはずなのに…。 受験生にとっては易しい問題だからいいようなものの,この1問で差がつくとは到底思えない。

〔6〕は表の中に何番目に連絡がきたかを書き込んで解ければ実は易しい。 (1)は,4番目までに連絡がきた生徒の数を数えるだけ。 (2)も次郎のところに最後に連絡が入るのは9番目だから,その1分後を答えるだけ。 (3)も「7番目+7分」と「10番目」を比べるとオシマイ。 かかる時間を真面目に書き込んでいくと無駄に時間がかかってしまうので, 解き方の工夫を問う良い問題になっている。

計算の煩雑さはまさしく雙葉。 でも,もっと幅広く努力を見てくれるような問題をぜひ期待したい。

国語

〔一〕随筆 伊集院静『きみとあるけば』約2700字 小問12題(記述10題)
〔二〕説明 青木宗『詩をつくってみよう』約1300字
(韻文:田中美子「グラジオラス」2連19行を含む)
小問8題(内:記述7題)
〔三〕知識 三つの指定語句を使った「短文作り」 3題
〔四〕知識 漢字の訂正 小問10題

大きな変更点として特筆すべきなのが「解答用紙」の登場である。 四角いスペースに区切られた「解答欄」の存在は入試問題としては当たり前。 しかしながら、こと雙葉の国語に関して言えば「伝統的に」存在しなかったのである。 問題文の隙間を微妙に使って答案を書き込んでゆく。 そんな牧歌的な、古き良き時代の名残をとどめる問題。 進学校とは一線を画した伝統校としてのアイデンティティー。 その雙葉が、ついに生まれ変わった。 A3の大きさで両面にわたる解答用紙は、 「進学校」へと変貌を遂げた雙葉の存在をアピールするに十分なメルクマールとなる。

〔一〕は伊集院静の『きみとあるけば』からの出題。 イラストをキンキキッズの堂本剛が描いたことでも話題となった本。 そんな「絵本のよう」と評される題材ではあるが、 設問は「語句の意味」の理解を徹底して問いかけるシビアな内容。 辞書的な意味を知っているだけでは通用しない。 日常生活に登場する語句として、会話レベルで理解していることが求められる。 すなわち「使いこなせる」だけの語彙の運用力が試されているのである。 「好奇心のかたまり」「取り柄」「命日」「おぼつかない」といった語句を 日常会話の文脈の中でいかに使用するのか。 文章の中での<生きた>言葉の理解とともに、 大きな解答欄を前にして自らの理解を「説明し尽くす」だけの記述力が必要となる。

〔二〕雙葉名物「韻文」はここに含まれている。 「福笑い」とはどのような遊びなのかを説明させる 問四は「ご愛嬌」と受け取られがちであるが、 冷静に「説明せよ」と言われると言葉に窮する。 「お正月に行う遊びの一種。 目隠しをして、おかめなどの顔の輪郭だけをかいた紙の上に、 眉・目・鼻・口をかたどった紙を置いていき、 できあがりのおかしさを楽しむもの。」 解答欄から考えて、 ここまで書くことが必要十分条件なのである。

〔三〕雙葉の求める国語力を見事に表現しているのがこの問題。 例えば「ひときわ」「さながら」「かきたてる」の三語を使って自由に短文を作る。 語句の意味をそれぞれ理解しているだけでなく、いかに運用するか。 「文脈で理解する」ことの必然性を訴える問題である。

〔四〕正確な語彙の運用力を問う問題はさらに続く。 漢字の誤字訂正。 「教えを解く」→「教えを説く」・「塩風」→「潮風」・ 「快的」→「快適」・「純心」→「純真」など

以上、「生きた言葉の理解」と「説明し尽くす記述力」。 雙葉国語が求める本質は変わらないものの、 「進学校への選抜試験」としての意味合いが浮き彫りにされてきた。 雙葉を目指す受験生には、 質・量ともによりハードな対策が必須条件となったことは間違いない。

理科

〔1〕化学 溶解熱と中和熱に関するカロリー計算と実験データ処理 難易度B
〔2〕生物 DNAとクローン動物・アフリカツメガエルの受精 難易度B
〔3〕地学 対流の起き方に関する実験・海風の起き方 難易度A

雙葉の理科は、ここ数年で大きく変貌しています。 下に示すように、1つは設問形式の変化で、 1つの設問あたりの解答欄数が減っています。 この理由は明白です。 従来は、生物や化学の実験観察を題材にし、 問題用紙2〜3枚にわたる長文から結論を読み取らせる出題が多いため、 必然的に空所穴埋め形式の設問が多くなっていました。 ところがここ2〜3年は、結論を導くためのヒントとなる設問はすべて削ぎ取られ、 設問同士の連関が少なく、 ポイントとなる設問だけが独立して設定されているからです。 この事実は、知識量は劣っても読解力で合格点を稼ぐ受験生は 通用しなくなっていることを意味しています。 もう1つの大きな変貌点は、 問題で扱われているテーマが小学生にとって非日常的なものへと変わり、 見慣れない題材に対して、その場で判断し処理をする力を試す入試へと変わりつつある点です。 JG・鴎友・頌栄系の4分野バランス型の学習量を診る理科ではなく、 スピードが重視される白百合の理科と高度の計算処理能力が 要求される豊島岡の理科に近づきつつあります。 雙葉のカラーや校訓に合った受験生云々ではなく、学力があり逞しい、 選ばれし女子だけをピックアップする入試への変貌が今年も続いています。

  • 平成18年:大問3題 設問20問 解答欄29箇所(1.5箇所/設問) 代表問:DNAとクローン動物
  • 平成17年:大問4題 設問20問 解答欄43箇所(2.2箇所/設問) 代表問:アリの行動の観察
  • 平成16年:大問3題 設問17問 解答欄32箇所(1.9箇所/設問) 代表問:水溶液の分析実験
  • 平成15年:大問3題 設問14問 解答欄38箇所(2.7箇所/設問) 代表問:栄養素と呼吸商

〔1〕は頻出の化学の実験観察問題です。 過去に過酸化水素水の分解による水の生成量を計算させる出題がありましたが、 今年はカロリー計算という受験生が苦手な概念を絡め、 難度は大きく上昇しています。 出題内容は、 固体の水酸化ナトリウムを塩酸に入れたときに発生する熱量は、 水酸化ナトリウムの固体が水に溶けるときの溶解熱と、 水酸化ナトリウム水溶液と塩酸が中和するときの中和熱との2種類の熱量の和に等しいことを、 実験データから計算で確認させるものです。 中和熱という概念やカロリー計算は、 巣鴨や浅野などのバリバリの男子理系進学校では良く扱われる内容です。 これが"義務においては堅実に"と謳う生粋の女子校で出題されたということは、 レベルの高い生徒を確実に獲得したいという雙葉中学の意欲の顕れと言えるでしょう。 桜蔭志願者なみに、物理化学分野の計算問題に積極的に取り組んできた受験者ならば 難なくクリアーできたと思いますが、 大半の受験生は出だしの〔1〕から頭が真っ白になったかもしれません。

〔2〕がまたまた受験生にとって過酷なテーマです。 DNA・クローンと記述させる設問から始まり、 DNA鑑定の利用法の選択、アフリカツメガエルの受精方法と受精卵の大きさ、 受精卵の育成条件と続きます。 ヒキガエルの卵の大きさを覚えていればアフリカツメガエルの卵の大きさも類推できるので、 個々の設問は難問とは言えませんが、 見慣れない問題に出会うと焦ってしまいがちな受験生には、 とても難しく思えたに違いありません。 "徳においては純真に"と謳ってきた雙葉が超難関進学校を目指し本気モードに突入したようです。これまでの理科は算・国の半分 の配点通り、合否に与える影響は大きくはなかったと思いますが、 今後は理科の実力が抜きん出ている生徒にとっては有利な入試となりそうです。

社会

〔一〕歴史 原始〜中世 リード文約1000字 小問9題
〔二〕歴史 江戸時代の人々の暮らし リード文約800字 小問11題
〔三〕地理 日本の農業 一問一答式 小問6題
〔四〕公民 「弱者」の人権保障 一問一答式 小問5題

〔一〕では「歴史が好きな花子さん」の見学した博物館の展覧会レポートを読んで、 「日本のあけぼの」の岩宿遺跡から、 「天下統一」の豊臣秀吉の時代まで<人々の暮らし>をたどり、 〔二〕では、秀吉の太閤検地によって石高を測る規格が全国で統一された話から始め<農 民のくらし>がテーマとなっています。 「御触書」が出されて重い年貢に苦しんでいた… といったレベルの「教科書的紋切り型」ではなく、 人々が現金収入を増やすためにどのような工夫をしていたのか、 というエピソードが語られたり、 〔一〕・〔二〕を通して、<生活者の視点>とでもいうべきものが根底に流れている出題。 このあたりの「複眼的な視点」が雙葉らしいところ。 設問もこうした文章の流れに即した形で組み立てられています。 〔一〕は基本問題が多い中にも「田楽」を答えさせるあたりが差のつけどころ。 しかしながら、このレベルは過去に他校での出題もあり「想定の範囲内」としたいところ。 それに比して〔二〕は「いかにも雙葉」といった問題が目白押し。 問1「1合を約0.18リットルとすると1石は約何リットルになりますか」, 問5「金属製品を生産する人びと(職人)を何と呼びますか」、 そして問7「生産物・加工品を町に売りに行く民話・伝説を選びなさい」。 雙葉の求めている「社会的な知識」の質がよく表れている問題であり、 教科書を読んで詰め込みました、 といった通り一遍の知識では全く歯が立たない。 生活の中に息づく<肌ざわり>のようなものを大切にする姿勢。 知識ではなく知恵を問う姿勢。 その姿勢をこうした形で入試問題に組み込む手腕は脱帽ものです。

〔一〕〔二〕にくらべると、 〔三〕以下は「おまけ」的な寄せ集め問題という印象。 しかしながら、ここは「知識」をしっかりと確認する役割分担の問題と言えるでしょう。 〔三〕野菜・果実・米・畜産それぞれの生産額が多い都道府県に印をつけた地図4つを示し、 まずこの中から米と畜産を示す地図を選ばせます (米は北海道と新潟、畜産は北海道と鹿児島を見ればそれでおしまい)。 そのあと、日本の農業生産の工夫、稲作、輸入自由化に関する正誤問題、 米自給率「95%」を選ぶ問題も、典型題。反面、ミスは命取りとなります。 〔四〕も、 「いろいろな意味で弱い立場にある人びと」というテーマ設定こそあるものの、 女性・高齢者・少数民族・障害者、そして「新しい人権」に関する一問一答形式で、 設問ごとの関連性を見抜く必要はありません。 問1・2では、 正誤問題の選択肢に女性専用車や年金未払いなど「身近な実例」が取り上げられているものの、 標準的な問い掛け。 問3は差別を受けてきた民族として「アイヌ」を 答えさせるというのもストレート。 問4の選択肢にバリアフリー・ノーマライゼーション・ユニバーサルデザインという 3つの類似語句が並ぶのが紛らわしい程度です。

こうして見ると、 〔二〕のような「雙葉的」な問題にばかり目がいきがちですが、 その他の設問の多くは「どこかで見たことのある」オーソドックスな問題ばかり。 受験生としては何よりも基本事項の理解を徹底させることが大切。 その先に待ち構える「雙葉的な知恵」に辿り着くためにも、 「知識の定着」をこそ、 まずは心がけるべきであることを心に刻んでおいて下さい。


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