算数
昨年,算数が久しぶりに難化したJG。 一度難しくなると,3年間は同じレベルの出題が続くと予想されたが, 今年は全体を通してみると,やや易しくなった感がある。 従来どおりのB4版たて3枚の構成の,まずは1枚目。 計算問題が4問(6問?)という異例のスタート。 決して面倒な計算ではないので,ここはミスなくクリアしたい。 〔2〕は頻出の角度問題を含めた小問4問の構成。 今年の角度は, 定番「二等辺三角形の発見」ではなく, 「和と差」から求めるもの。 「和」が求められなくて, 手を止めてしまった受験生が多くいたようである。 (2)の正三角形がしきつめられた図の中に描かれた三角形の求積。 まわりに六角形を描き, 「3つの平行四辺形の半分+すき間」として求める。 これも, 一度はやったことがないとJG受験生には時間を奪う落とし穴となったはずである。 (4)の立方体・直方体の展開図を探す問題も, 8個の展開図を1つずつ検証するだけで, 当然時間はかかってしまう。 というように, 1枚目だけをとらえれば, 昨年同様のレベルを思わせる問題になっているし, 受験生にとっても, 思いのほか多くの時間を費やして焦ったはずである。 ところが,2枚目に入ると状況は一変する。 〔3〕の速さは, 比を使って考えれば一瞬で終わってしまうような易しい問題。 「学校から図書館」「図書館から駅」を別々に聞いていることも この1問を易しくしてしまった大きな要因である。 「学校から駅」を問う形にしていれば (別々に求めてただ足すだけであっても)取りこぼした受験生が増えたであろう。 〔4〕はこれもおなじみ「水槽グラフ」と「点の移動」。 水面が5cm上がるのにかかる時間と底面積が比例し, 水そうの高さが反比例するので, 3つのグラフから水そうの3辺を求めるというもの。 「水そうに関する問題」はJG受験生ならば, 十分にトレーニングを積んでいるはずなので, ここでの失点は考えられない。 (2)の点の移動では「点イが15周してAの位置に着いたとき,赤い光は・・・」で, 36秒後の赤い光の様子について聞いているが, 「○○○××」という形でしか, 点滅のイメージを捕らえられていないと, 「36は5で割ると1余るので,つくところ」と選んでしまった受験生もいたはず。 だが,それを除けばあとはそれほど処理に時間のかかる問題ではない。 解答欄も8箇所しかないので,2枚目を終えたところで, ずいぶんと気が楽になった受験生が多かったことだろう。 3枚目の上段,〔5〕がまた易しい。 複合図形の求積問題で,3.14の計算をさせただけ。 余裕を持って最後の〔6〕に取り組める時間が残されただろう。 トーナメント戦の得失点合計から, 各試合の勝敗を考えさせるもの。 (1)のA対Bは一瞬。 C対DもCの得点とDの失点の関係から明らか。 この2問は落としてはいけない。 この後の(2)(3)は,よく考えさせる良問である。 Gは2試合以上戦っていること,A〜DのブロックからDが決勝に進出していること, Eの失点からFが決勝に進出していること, というように,順を追って読み解いていければ,難しいものではない。 いかに落ち着いて論理を展開できたかがカギである。 〔3〕から〔5〕までの軽さを考えれば, 「易しかった」という声が出るのも当然だと思うし, また,1枚目に苦しんだ (というより,飛ばして先に進まなかった)受験生からは 「難しかった」と思われたであろう。 1問ずつ取り上げれば,決して難しくないJGの算数。 今年のような落とし穴をうまく避ける判断力を数多くの演習の中で身につけていくのが, 合格への重要なポイントになるのである。 国語
昨年は〔一〕〔二〕〔三〕の出典が全て随筆。 文章も飄々とした雰囲気を漂わせる〈粋〉な内容。 筆者の「論理」よりも「感性」に感応できる感受性が問われたと言え, 目配りの利くバランス感覚こそが重要であったと指摘した。 また,だからこそ十二歳の少女には「手ごわい」とも。 チラシ寿司のごとく次々とバラエティーに富んだ設問が緩急をつけて繰り出されるのだから,と。 今年はと言えば「正攻法」と呼ぶに相応しい。 オーソドックスな論説文がメイン。 「テーマ」重視の文章で, 筆者の考えを筋道立てて追跡し,理解し,推論する。 論理展開の把握こそが最重要ポイント。 ご無沙汰の,いやいや,待ってました!の「テーマ重視」のJG国語。 一流シェフによるコース料理をご堪能あれ。 〔一〕はチャップリンの「モダンタイム」よろしく, 大量生産・大量消費の現代社会を機械化による人間疎外の観点から批判する内容。 荘子のたとえ話を引きながらの説明に戸惑う受験生がいたとしたらそれは教養不足。 「機事」「機心」という耳慣れない言葉が, 上述の「人間疎外」を指摘している点を理解すること。 問十一の答えが文章のテーマそのままズバリである。 「豊かさを求めて発展してきたが,本当の幸せは何かを考え直すべきである」。 現代社会における豊かさのパラドクスは,授業でも扱ったお馴染みのテーマ。 〔二〕は「調和」の意味を問い返す内容。 「個」を抑圧して「全体」に合わせるのではなく, 「全体」の中でこそ「個」が生きてくるということ。 しかも,「個別」に陥らないように。 日本文化・社会における問題点として取り上げられているが, 移民社会であるアメリカでは従前から盛んに議論されてきたトピック。 即ち「メルティングポット」から「サラダボウル」へ。 問六・十一・十三がこの「混じる」ということの意味を問いかけてくる。 「混じるということは融和することですが,同時に個を保つことでもあります」 という言葉の意味を「具体的に」理解できてはじめて解答できる問題。 〔三〕こちらは随筆。 昨年同様の「徒然」系。 筆者の論理ではなく感性に呼応すること。 問三「もみじの季節,湯のわく山を訪ねよう」に注目。 行変えまでして, わざわざ単独一行でこのフレーズを 強調している作者の「心意気」を感じ取ること。 設問も「作者のどんな気持ちが感じられますか」というもの 。文中に書かれている訳ではない。 行間から「読み取る」こと。 「訪ねよう!」というこの高揚感。 紅葉との掛詞(笑)とまでは言わなくても, そんなニュアンスを感じ取るだけの余裕が必要となる。 勿論,「期待感」で正解ではあるのだが。 硬軟合わせた題材に,バラエティーにとんだ設問。 守備範囲を広げるには,何にでも興味を持つ「野次馬精神」が必要。 ジャーナリスティックな関心を世間に対して向けているかどうかが JG予備軍へのリトマスになると言えるだろう。 理科
女子学院の合否を決めると言っても過言ではない理科であるが, 今年の理科は超高得点勝負になったと思われるほど,あまりにも易しい。 恒例のあいまいな選択肢(それも複数解答の)も今年は存在せず, 受験生にとっては解きやすい問題になっている。 解答欄の数は久しぶりに50個の大台を超えたが, それでも時間が余ったという声が多数聞かれた。 〔1〕は人体。 人体に関する問題は,応用的な出題がほぼ不可能なため, ここで差がつくことはまずありえない。 せいぜい唾液の消化実験ぐらいしかないのだから, 必要最低限の知識が備わっていれば対策の必要はない。 生物分野が「実験観察データ」の形で出題されるときは (その方が割合としては圧倒的に高い), そこでの得点差が合否に直結するケースもあるので注意したい。 〔2〕は今年の出題が予想されていた地層。 ところで,1枚目と2枚目の生物・地学分野が久しぶりに入れ替わったのは何故? それはともかく, この2枚目は2(1)の 「地層が侵食された様子を真横から見たときにどうなるか。」を選ぶところで, ちょっと悩むぐらいで,あとは何コレ?って感じ。 3(1)では「火山・A地点・B地点は一直線に並んでいる。 B地点の位置を示せ」と聞かれているが, 2枚目の最上段に,「A地点とB地点は100km離れている。」と書かれているのを ちゃんと見たかどうかを聞きたいのだろうか。 〔1〕同様,ここでも差はつかなかったはず。 〔3〕は二酸化炭素・水素・窒素・アンモニア・塩化水素の性質について 表の中を埋めていくものが前半。 ここでは,1問も落としてはいけない。 後半では,酸素の発生についてグラフを描かせる問題が2題出されている。 化学がよっぽど苦手ならこのグラフが描けないことも考えられるが, 濃度と全体量の関係から, 発生する酸素がもとのグラフのときの何倍になるかを考えるだけなので (反応速度を多少は考慮する必要はあるだろうが…) 決して合否を分ける1問というほどではない。 (8)の実験装置を描かせるところだけは, 手がつかなかった受験生がいたであろう。 発生した気体の圧で,過酸化水素水の液面が, 二酸化マンガンを入れたふくろよりも下になるような装置を思いつけばよい。 〔4〕はボールを床に落としたときのはね返りについての問 題。1の空所補充はVだけが悩みどころ。床にぶつかったときに,エネルギー が別の形で使われてしまうことに気づけばよいのだが, 「熱」が発生するとはなかなか書けなかったであろう。 4の問題では,80cm跳ね上がるのにかかる時間と80cm自由落下するのにかかる時間が 同じであることをわかっているかどうかを聞いている。 「落ちるときのほうが速い」という思い込みがあると思われるので, 実は得点差をつける問題になっているのかもしれない。 5,6の作図は難しくない。 5は「勢いが同じ=横への飛び出し速度が同じ」と考えれば, 水平方向への飛ぶ距離はアもイも変わらないので同じ場所で弾み, 高さは半分になるというような図が描ければよい。 6は壁がなかったときのボールの動きを, 壁を対称の軸として折り返した図を描くことになる。 これで3年連続して易しい理科を続けたJG。 特に今年は合格者平均が90点に限りなく近くなったはずである。 このような傾向が続くようなら, 「理科苦手でも十分になんとかなる」と言えるのだが, 残念ながら来年あたりはきっと難しくなるんでしょうね。 何にせよ,JGに行きたいなら,しっかり勉強しなさい。 社会
この4年間の解答数は,97→76→98→82(06年)。 昨年に比べると多少の減。 特に〔三〕地理分野が軽かったことは特筆すべき点。 ただし,この形は一昨年の形に似ている。 〔一〕のリード文は,核問題・衆議院選挙がテーマ。 核拡散防止条約(NPT)を中心に展開し, 昨年の衆院選前後のようすを記している。 例年に比べると,コンパクトな時事解説の領域を出ない文章で, 社会への問題意識を孕んだ,いかにもJGという佇まいではない。 まずは空欄補充(以下,下線部が解答), 「アナン事務総長」「衆議院総選挙」「総選挙後の特別国会召集」 「与党の自民党」「民主党をはじめとした野党」といった基本的用語を書かせるのが中心。 「解散の手続きで大臣が罷免された」は多少難しいか。 その後はAA会議が開かれた場所, 広島ドームが何に登録されたか等易しいといいえる設問もあるが, アメリカの次に原爆実験を行った国, 国連の旗が何を中心に描かれているか等, 社会が苦手な子を峻別するような設問が続く。 沖縄の「平和の礎」についての選択肢の一つである 「平和への取り組み」についての設問からは, 社会への関心度も必要なことがわかる。 さらに,「第二次世界大戦の後に起こったこと」を6つの選択肢から 「すべて選び,記号で答えなさい」という設問。 選択肢を素早く読むスピードと,瞬時に判断する注意力が要求される。 〔二〕は9つの資料や絵とそれについて書かれた解説があり, 設問が続く形式。 取り上げられる政治風刺画は見慣れないものもあり,リード文は格調高い。 決して取っ付き易い問題ではない。 歴史分野とはいえ,鎖国を定めた人物を問う設問以外は, すべて幕末以降で,〔一〕を含めて,近現代史が重要になるのは例年以上。 語句を答える問題と記述一問。 「陸奥宗光・勝海舟・津田梅子・マッカーサー・平塚雷鳥」等の人名, 「岩倉遣欧使節・三一独立運動・大東亜(共栄圏)・真珠湾・治安維持法」等の語句が 空欄補充や一問一答式で問われている。 決して基本的用語ばかりでもない。 さらに,ストレートな設問だけでなくちょっとした変化球が忍び込む。 条約改正の件で,日本が断られた理由として日本が持っていなかった 「近代国家の枠組み」とは,具体的に何を指すのか(憲法)を問うという具合。 限られた時間の中,自分の引き出しから解答を出すことができるようになるには, 「社会が苦手」などと言っているようでは無理だということ。 記述も同じこと。 今年度は,マッカーサーが「日本政府に命令を出せたのはなぜか」。 易しいようで難しい。 GHQの占領統治や総司令官の意味を理解していなければならない。 〔三〕は日本の工業。 例年のいくつかの条件から地名・地図上の位置を問う設問が軽い。 しかも,鉄鉱石・石油の輸入先相手国の一位を記号選択で選ぶ, 空欄補充で「太平洋ベルト」を答えさせるといった, 基本的事項の羅列がほとんど。 肩透かしを食らった受験生も多かったはず。 かといって,来年も同じということにはなるまい。 まんべんなく地理・歴史・公民分野の基礎事項を定着させることは必須。 スピードとパワーを身につけていなければならないことに変わりはないが, そのためにも社会的事象への興味,学習内容への深い理解が必要。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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