算数
去年と同じく大問4問の構成。 〔1〕は小問集合, 〔2〕以降の3問は, 答えの出し方を書かせる形式で例年どおりである。 さっそくそれぞれの問題を見てみよう。 〔1〕昨年に比べさらに難易度が下がった。 (1)は分母を999と簡単に直せるので循環小数の形がすぐ見えてくるのだが, 直接計算してもそれほど時間はかからないだろう。 (2)と(3)は駒東で出していいの?というレベルの問題。 ここでの失点は許されないだろう。 〔2〕去年の〔3〕と同じグラフを利用して解く問題。 (1)は条件を書き出せばすぐ答えが出てくる。 (2)は解答用紙にグラフが与えられていて, Aの信号機が青になっている時間が太字で強調されている。 おまけにB,Cの位置まで丁寧に与えられており, いたれりつくせりの設定。 あとは28秒でA,B,Cのすべてを青で通過するような直線を考えれば一発なのだが, グラフのうまい利用が思いつけなかった場合は,ここで時間をつぶしてしまうだろう。 ここで合格者と不合格者の点数差がついた可能性は高い。 〔3〕鋭角三角形の辺上の3点を頂点に持つ三角形のうち 周の長さの最小値を与える三角形を考えるとき, 各頂点から対辺に下ろした垂線の足を3頂点に持つ三角形が題意を満たし, このような三角形を「垂足三角形」という。 最近どこかで見たなあと思ったら05年の「高校への数学9月号(東京出版)」だった。 つまりは純度100%の中学幾何。 昨年劇的に変化した本校の出題傾向だが, やっぱり数学ネタ〜それも全然こなれてない〜が本校の「持ち味」なのだろう。 (1)はとっておきたい。 (2)二等辺三角形の頂角を辺AB,ACが二等分している事実に気付けるかどうか。 (3)は結局AXの長さが最小なので, AXがBCと垂直であればよい。 まあ,無茶といえば無茶な問題だが, こういう問題も「アリ」でしょう。 ただ,あえてケチをつけさせてもらうと, この問題は三角形ABCが鋭角三角形でないと成立しない。 問題文で与えられている条件は, 「図の三角形ABC」という表記だけで鋭角か鈍角かは厳密には判断できない。 ネタが中学数学なのに問題文は 「小学生相手だから図の三角形ABCでいいでしょう」というのはいかがなものか (面積と高さと角度の関係から実際には1通りの鋭角三角形の形が確定するが, もちろん算数の範疇は越える)。 〔4〕連分数の表記法(ユークリッドの互除法)を題材とした問題。 (1)はひたすら計算。 (2)は逆順に計算を追っていけばよい。 しかし(3)は(1)(2)と全く関連性のない問題。 数学的に意味ありげに見えて, 実は答の範囲を丁寧に書き出すことだけが要求されている。 今年は平均点が69.4点(昨年63.7), 合格者平均が80.7点(昨年77.6)と, 昨年が14点差だったのに比べ今年は10点程度の差に収まっている。 〔1〕〔2〕〔4〕での作業の正確さがそのまま点差に現れたと考えられる。 〔3〕の出来はおまけ程度に考えていればよい。 ただしここで正答を得ればグッと合格に近づいたことは間違いない。 また〔2〕〔4〕のような範囲をきちんと求める問題はよく出題されるので, 普段から多めにこなし, さらに余裕があれば〔3〕のような中学数学の対策として一定レベルの先取り学習 (具体的には,二次までの文字式,三平方の定理,円周角,合同,相似)を すればなおよいだろう。 国語
例年通り物語文1題勝負。 漢字,語彙力,選択肢,そして記述の量などのバランスも例年通り。 例年と違うのは,翻訳物であった点と主人公が女の子だったこと。 確かにこれはでかい相違点。 翻訳物と言えば99年以来の出題。 あの時はあまりにも本文が難解すぎて, ほとんどの受験生が読みこなせず, 国語だけはできる(しかし算数はまったく「お寒い」)生徒が 高得点をバカ取りして合格するという「番狂わせ」があったが, それ以来の出来事。 何しろ,登場人物が,母のいない自殺したがっている少年, その父親,そして父とよい仲の「酒場の女」, この三者の関係を読みこなすというゴツイ内容だった。 「こんなの読めねえよ」と方面からブーイングを受け, 以来翻訳物には手を出さないようにしていた本校ではあったが, なんと久しぶりにその禁断の果実に手をつけた。 一方,女の子が主人公の出題は本校では「想定内」の事態。 今回14本準備した予想問題にも, 女の子中心の物語を何本か潜ませてはいた。 さて本文の内容だが, 主人公の女の子が怯えて母親にすがる。 そこにジュリエッタ荘の持ち主のおばさんがいきなり駆け込んでくる。 母親はなにが起こったのか理解できない。 娘にわけをきくと, 遊びさきのジュリエッタ荘で幽霊をみたという。 ここでおばさんはやや安心した表情をする。 母親とおばさんは以前から友人同士であったが, ここで目配せをしてお互いの気持ちを確認する。 娘が見たのは実はその荘にかくまわれていたユダヤ人の女の子であった。 当時はヒトラー政府がユダヤ人を迫害する時代だったのだ。 かくまっていたのはこのおばさん, 母はもちろんその事情をおばさんから聞いて知っていた。 しかし娘が偶然その女の子をみかけ, しかも「幽霊」を見たと思い込んで怯えている。 母親はこのまま娘を怯えさせておくことよりも, きちんと事情を話して娘に理解させるという苦渋の選択を迫られる。 秘密を知った娘は自分の軽はずみな言動で, 累が他に及ぶかもしれないという重責を背負い込む・・・。 大体こんな内容。 本文の内容は一見とっつきにくい。 特に主人公の女の子が「幽霊を見た」と思い込んでいる様子に おばさんが安堵の胸をなでおろす場面や, 母親とおばさんの目配せが何を意味するのか読解できない諸君は チンプンカンプンの世界に引きずりこまれる。 本文前半で内容についていけない者がまず, 戦線離脱。 しかし本物の駒東受験生ならその危険はないだろう。 ユダヤ人をかくまっていた「大人たちの秘密」だったんだ, と読みきれた受験生に問われる次なるハードルは, やはり記述力。 しかし今回の記述問題の内容は, すべて「一方向」の流れに沿った説明に終始し, 本文の全体の筋書きを理解できれば大きく外すことはあり得ないようなものばかり。 つまり記述内容勝負というよりは, 字数制限の桎梏に耐えられる表現力の勝負。 これは「升目記述の地獄」を経験した者だけが乗り越えられるハードル。 さて全体の設問の難易はどうだったのか。 結論的には, 今回の設問は本校としては, 簡単な部類に入るものであった。 まず選択肢問題がほとんど練られていない。 そのため例年の「微妙な選択肢」がほとんど皆無で, 正誤がはっきりしたものばかりであった。 記述内容も既述したとおり。 合格者平均点が昨年より,4.4点高かったのも, むべなるかな,って感じですね。 理科
試験時間が40分(04年までは30分)になって2年目の今年も, 大問数5, 設問数27は例年通り。 変わったことといえば, 今年は極端に計算が少なく(もともと少ない), 近年出題の目立っていた常識とはいえない趣味の生物(05年ヘビ,04年クサフグ,02年カワセミなど)がその色を薄めた。 その分,入試問題としては標準的なものになり,易化した感が否めない。 受験生の平均は50.5点(63.1%)とここ2年より約7点上がった。 〔1〕では, (7)の振り子の等時性やエネルギー保存の法則に関しての問題のような, 本校の合否ラインを決めるのに適した出題もある。 問題を解いたときの印象よりも受験生の平均が低いのは, 〔1〕の各分野からの一問一答式の問題において, 『2つ選び』や『すべて選び』と問われたときに選びきるだけの緻密さのある受験生が 少なかったからだろう。 ここを完答できるだけの力をつけてから, 本校入試には臨みたい。 〔2〕は平易で間違えようがない。 最後の結論に至っては, 実験データの話をすっ飛ばして, 太陽高度と光電池の傾きを足して何度のときに最大の電圧を得られるかというもの。 90°に決まってんジャン! 〔3〕は虫媒花とマルハナバチに関する生物からの出題。 近年のトラウマから一瞬身構えるも, なんてことはない, いつもの無駄になが〜いリード文を読みとばして解く問題。 今年もやっぱり読まなくても解けてしまうんですけど…。強いて言えば, (4)ハチの足についている団子状の塊を何に使うかという問題は読まないと解けないか? まさか『健康食品!』なんて答えるヤツはいないだろうけど…。 〔4〕は夏の天頂付近の星空の図を見て解く問題。 (2)の方位を答えさせる問題は, 受験生が高いレベルで学習してきたかを見るには適切な問題。 が,そのあとがいかん。 (3)で天の川を答えさせ, (4)で天の川が光って見える理由を答えさせ, (5)ではたった8つしか描いていない星を結んではくちょう座を作るというもの。 バカにしてんですかね, 僕らはもっと勉強してから今日来ましたよ! 〔5〕は水の三態変化のグラフから空気と水の膨張を考える問題。 (1)〜(3)までは考える受験生と, そうでない受験生を識別する良い出題。 今までのガッカリ感をちょっと取り戻してくれましたよ。 グラフが平らになっている部分が水と氷の混ざった状態であることから, 試験管内に入っている空気が, 水が氷になることによって体積が増えるので, 押し出されると導き出させて記述させるもの。 やればできるジャン!と誉めたのもつかの間, (4)で台無しですよ。 こんなツマンナイ比の問題を出題をするために, 『水が氷になると体積が10分の1だけ増えます』って教えちゃうんだもの… キビシイ話(ただのグチ?)を書いてきたが, 入学試験問題としての妥当性は十分ある。 学習してきたことがそのまま得点差に現れるという点で, ごまかしの効かないものでもある。 だからこそ, 本校志望者には特殊な対策ではなく普通のことを普通の受験生以上にきちんと身につけるべく, 勤勉に学習に取り組んでいただきたい。 キビシイ話を書いてきたのは, 男子四天王を担う学校としての格調高い問題を期待しているからだ。 作れるだけの能力の高い先生方がいるのだから。 来年こそ,きっと…。 社会
本校は年々記述問題を増やし, ついに昨年は小問23のうち記述問題が9という段階に到達した。 今や社会科は記述勝負, というのが昨年の分析の結論であった。 さて今年はと見れば, 20問中記述が6問。 記述問題の高配点を考えればほぼ記述で勝負が決すると言っても過言ではなかろう。 それぞれについて各設問に沿ってみてみよう。 〔一〕の文化交流に関する出題で目を引くのは,問2。 韓国のソウル国立博物館にある弥勒菩薩像と 京都の広隆寺に伝来する弥勒菩薩像の写真をかかげ, その形の類似を示し, 金銅像と木像の材質の相違を説明したうえで, 「広隆寺の像がどこで制作され, また,なぜ6世紀末から7世紀はじめには日本に存在していたのかを説明」 させる問題。 設問の条件をしっかり読み取って, 要求される正解をさぐりあてる判断力と, わかりやすく説明する文章力が問われる問題。 設問の条件の中に, 「@広隆寺の像の用材はアカマツ。 A当時アカマツは日本にも朝鮮にもはえていた。 B当時日本では仏像の用材はクスノキで,アカマツを用材とした仏像はありません。」 とある。 この条件を論理的に組み立てていけば, 要求される結論は明らか。 「朝鮮で制作され日本に持ち込まれてきた」という趣旨の記述であればよい。 しかしここで解答欄の大きさに注意。 このスペースを埋めるには, 先の記述だけでは文字不足になる。 「当時の日本と朝鮮の交流を考えて」説明しなさい, という設問に敏感に反応しておこう。 「渡来人たちが仏教・儒教などの教えとともに様々な文物を持ち込み…」 などなどの「点差」をつける工夫が当然大切になる。 解答欄の空間を目いっぱい活用して「アピール」する逞しさは絶対に大切。 次に目に付くのは,問7。 江戸幕府が, ヨーロッパの地理学や天文学・物理学などの学問を なぜ規制したり弾圧しなかったのかを問う一行記述の問題。 これなどは「朱子学を擁護した政治的な理由」を 学んでいれば容易に着想できよう。 士農工商の身分秩序を重んじる朱子学は 幕藩体制を支える学問として都合がよかったが, 上記の学問はその秩序に直接違反するものではなかった, という趣旨の解答でよいだろう。 さて問9の記述問題は, 統計表から判断させる問題。 満州事変前後の米の価格の変動と, 失業者数の変化を示す折れ線グラフから, 資源の入手以外に「満州を領土とすることで, 国民の生活がよくなると考える理由」を説明させる。 グラフに「失業者数」とあるので, 当然これを活用する冷静さが大切。 「国内の失業者の増加で物価が上昇したが, 満州に移民させることで, 失業の数を減少できた」という趣旨の解答でオーケー。 〔二〕問3の記述は大都市のベッドタウンの知識があれば, あとは作文力で何とかなる。 面白いのは問5の記述か。 東南アジアのエビ養殖が環境問題をひきおこしているが, それはどのようなことかを説明させる。 これは養殖地の場所確保のためにマングローブが伐採される, いわゆる森林破壊の問題である。 マングローブが熱帯地方の気候風土や生活にとって如何に欠かせないものであるかは 受験生の必須の知識。 水温の安定,魚介類の棲息地,養分の供給,高潮の防潮堤などなどの関連知識も大切。 さて以上のように, 本校の社会の問題は記述の点差で大きく勝敗が分かれるが, しかし特別に深い知識は要求されてはいない。 設問の条件を冷静に読み取り「何が正解として要求されているのか」という観点から考えれば 解答の基本ラインは確定する。 その上にさらに「点差」をつける工夫が大切になるが, そのスキルは, 特訓などで繰り返し訓練するしかないだろう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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