算数
解答を□に書き込む形式,B4たて3枚のスタイルは全く変わらずだが,今年は設問数が31とやや多めとなった。ただ,煩雑な計算と意地悪なしかけが多かったとはいえ,難易度は上記のとおりなので,受験生にとっては「ちょっと厳しいかな」と感じた程度であったと思われる。 〔1〕(1)はお馴染みの「13の倍数」を用いた分数計算。落とし穴として右辺も式の形にしているあたりが「意地の悪い」設問の第一歩。(2)は最も0.21に近くなるときの分母57が,分子12との間で約分できるというもの。某塾の解答速報では見事にこのワナにひっかかっていた。(笑)(3)の密閉水そうはJG頻出。でもこれは易しい。水そうを倒して,深さを答えさせる問題にして,2枚目に持っていってくれると,算数に自信のある受験生は救われるのだが・・・。今年は(6)で角度が登場。おうぎ形から二等辺三角形の発見はこれも過去に多く見られるパターンで,JGの算数対策を積んできた受験生には易しいもの。正三角形と正五角形の組み合わせも図を見誤らなければ大丈夫。(7)は一体何?空間図形の基本である「辺と辺の位置関係」「辺と面の位置関係」を聞いているのだが,これができたからどうなの?という一問。数の性質あたりで一問埋めたほうが,良かったのではないか。これにて1枚目終了で,ここまで12〜3分の消費時間というのが普通であろう。 〔2〕は比の文章題。比が普通に使えない受験生は,分数計算に苦しみ,こんなに易しい問題を落としてしまうことになる。「比の利用が苦手で・・・」ではJGを受験する資格はないというぐらいの気持ちで,日頃の学習においても留意してほしい。予算全体を360とおくところからスタートするとあっという間に(1)(2)が解けてしまう問題なので,合否を決めるほどの問題ではない。
〔3〕は「和が一定」「比例」「反比例」「差が一定」を見分けて,2量の関係を選ぶもの。時間に追われている受験生にとって,つい一つ一つ調べたくなるこのような問題は「意地悪」。ここは落ち着いて取り組んだほうがむしろ早く処理できたのではないだろうか。〔4〕の割合で2枚目終了。残りは15分ぐらい。 〔5〕の速さはいろいろな解法が考えられる「峠の問題」。(1)が誘導になっているのでそのまま解くのが一番楽。とはいえ,女子受験生の「速さ」への苦手意識を考えれば,ここで差はついたはず。 〔6〕図形の平行移動は驚き。過去15年間ほどさかのぼってみたが,一度も出題されていない。しかし,「残り時間が少ないのに小数の計算はイヤ!」という以外は,いくらなんでも易しすぎ。 〔7〕は方針が立つかどうか。正答率というより,答えを書いた受験生自体がきっと少なかっただろうと想像に難くない一問。円周率がらみの出題は必ずあるが,設問数を多くした上での最後の問題に,四捨五入の必要な3.14は果たして?と首をひねりたくなる。〔6〕までミスを少なくクリアできていれば,これは捨てても合否に影響はなかったであろう。求積の練習には有効な一問なので,5年生は解いてみよう。 全体的に難しくなかったからこそ,今年は算数で差がついたはず。「数の性質」「図形の性質」の深い理解を身につけ,基本レベルより一歩上の問題をすばやく,正確に解けるような精密機械になりきることがJG合格へ結びつくのである。「今は苦手」であっても,本気の努力さえあれば決して遠い道のりではない。 国語
文章量、設問数、特に変化無し。記述が多いように見えるが、多少長い記述は一問のみで、残りは書き抜きに準じた一行記述。例年の如く出典は随筆文中心。それ故、徒然なるままに筆者の「感性」に感応すればいいだけかというと、さに非ず。古の思い出、様々な見聞、そこから垣間見える筆者の考えを「論理」的に再構築することも求められる。典型的なのが、〔一〕問十三(これが長めの記述)。「上の文章で、筆者は挨拶のことばの変化を指摘して」いる(これがこの文章のテーマ)が、「その変化の原因と結果を説明」せよという設問。「外気に触れることの少ない暮らしをし始め」、「肌で感じる季節感まで喪失した」現代社会、「農業の人びとが少なくなった」こともあり「お天気への関心」が薄れ、「挨拶のことばから、自然が脱落して」ゆき、「挨拶ことばは単純になってゆき」「数がすくなくなる」。本文全体に散在しているこれらのことばを「原因と結果」があきらかになるようにまとめる。決して楽な作業ではない。しかも、ここに至る迄、緩急をつけて繰り出される読解・知識のバラエティーに富んだ設問を潜り抜けねばならない。読解は正確な文脈の読み取りが主で、空欄補充、一行記述、選択肢問題は、本文からヒントや根拠を見出すことが肝要。知識は、語句の使い方(「きく」の用法)、熟語(「ならわし」と同じ意味の漢字)、漢字の読み(「作物」の「物」と同じ読み)、文法(「の」の用法)等、これを解いていながら本文の流れを失ってはいけない。 〔二〕は筆者の子供時代の読書の思い出が綴られる。こちらは「感性」に呼応することが求められる。問七は、「一年うえの学年向きの本」を持ってきてくれた、遠縁の「フジムラ婦人」の「ちいさな心つかい」によって、「『わたし』の心情がどのように変化」したのかを「自分のことばで」書く。フジムラ婦人の本によって得た満ち足りた気持ちを行間から読み取る。しかし、文章に浸っているわけにもいかないのは問8。「本の読み方に関する」二つの「母の考え方」を書く一行記述。この本文は「読書」がテーマ。母親の読み方が明らかになれば、それによって筆者の姿勢も明らかになるというもの。主題に関わる。他の設問は語句の意味用法以外は、細部の読み取りが中心。 〔三〕は論説文風。クマが里に現われ、人間を襲うという悲劇の背景を考え、「自国と野生動物」への責任を人びとに訴えるという内容。筆者の主張を文脈に沿って追っていく。最後の選択肢問題。「自然の営みは『生命の環』で結ばれているのだ」と「最も近い内容を表している文」を選択肢で選ぶ。本文のどこを根拠にするというよりも、この手のテーマの文章を読み慣れていれば、正答を導きだすことは容易というもの。 以上のような硬軟合わせた題材、バラエティーに富む設問を40分という時間の中でスイッチを即座に切り替えながら、テキパキと処理していく。スピード&パワーのJG健在。 理科
今年は2時間目に実施された理科。ということは採点に時間がかかるような難問が出されるのか?と身構えていたら,全くその逆。四教科バランス勝負のJGではあるが,得意科目で少しでもアドバンテージをと狙っていた理科大好き少女たちを,がっかりさせた久々の駄作。ここまで易しいと,いわゆる「記念受験組」を弾き出すのがやっと。合否ラインに大きな影響を与えてはいないであろう。 今年の〔1〕は月の満ち欠け。月の満ち欠けが起こるのは「月の公転」が原因で,明るい部分は「太陽」に照らされていることぐらいは理科の知識ではなく,地球に住むものとしての常識。このほか,三日月が日没後約何時間で沈むか,上弦の月が何時にどこから昇るかなどなど,いくらなんでも〔1〕では間違えまい。唯一,(7)の「東京が満月のときのバグダッドの月の形」だけが,落とし穴。問題文のただし書き「バグダッドは東京の西方に位置し,東京の6時間後に夜中となる。」という記述に,あやふやな知識を揺さぶられた受験生だけが失点するというあまりにもヒドイ問題であった。 〔2〕は光合成に関する問題。対照実験の(2)で,どこからも読み取れない「二酸化炭素の排出」を勝手に組み合わせてしまって落とす受験生は多少いたであろうが,他は一問も落としてはならないレベル。 〔3〕は水溶液の性質。酸・アルカリの分類からスタートし,食塩水と砂糖水の味を調べない見分け方,鉄を溶かすことのできる水溶液と発生する気体と続く。何じゃこりゃ。(2)@の溶解度計算でやっと差がつく問題が登場。2つの実験から溶解度の範囲を問うもので,ちょっと面白い。(2)Aのお絵描きも,まわりをお湯(または発泡スチロールなどの断熱材)で囲むことに思い至らないと飛ばして空白となって,差がついたかもしれない。と思ったらBは間違いようのない計算問題。溶解度はグラフの読み取りにしたほうがもっと合否がはっきり分かれる問題になっただろうに・・・。(3)の石灰石+塩酸の観察問題は,これで受験生の何をはかろうというのか,わからない。 〔4〕はきっとハードな物理にちがいない。電流かな,運動かな・・・,という期待は見事に裏切られて,水の状態変化。(1)@で「湯気」が書けない? A洗たく物が乾く=蒸発がわからない? いや,いくらなんでもそんなはずはない。(2)A「冷凍庫の中の霜」は見たことがなくても,氷点下15〜20度の中にある氷だということぐらいわかるだろうし,「8月の南極」は真冬ってこともわかるはず。Cの記述についても,氷を温めていったときのグラフが0度と100度のところで水平になる理由ぐらい欠けないはずがない。(3)@の結露は,わざわざ窓の外側という,今の季節(冬)には見られない意地悪を仕掛けたものの,試験時間にも余裕がある状態でここまできた受験生がハマるようなものではない。むしろ,「さっき飛ばしたお絵描きができる」と喜んだ受験生が多数いたことであろう。 翳りの見えないJG人気であるが,この入試問題を見て,理系少女たちが果たしてJGを受けたいと思うだろうか。いたずらに難問を出せばいいというものではないが,「本質を問う」モノと「知識の蓄積が役に立つ」モノ,それに「計算問題」を三本の柱にした良問をぜひとも期待したいものである。 社会
過去5年間の解答数は、97→76→98→82→87(07年)。相変わらずのボリュームだといってよい。〔三〕地理分野における、いくつかの条件から地名・地図上の位置を問う設問が今年は重い(というか多い?)。この5年間軽い時が問題数の少ない年。 〔一〕のテーマは日本国憲法。現代社会への問題意識を喚起するかのようなJGらしいトーンがリード文にないのはちょっと寂しい。とはいえ、設問そのものが易しいわけはない(当然!)。まずは恒例の空欄補充(下線部が解答)。「アメリカ合衆国では…執行権(行政権)は大統領に…属し」―受験生の多くの答えが「内閣」だったと想像はつく。8つの選択肢の設問は「大日本帝国憲法の下」での政治、教育、新しい人権、税金、地方自治、司法などについて問われるが、「正しいもの」乃至「まちがっているもの」を「すべて選べ」「三つ選べ」という形が大半。いわゆる「アテ勘」や「女の勘」は通用しない。問題量を考えると、正誤を瞬時に判断する注意力が要求される。アメリカでは三権において「一人の人がそれらを兼ねることを禁止」しているが、「日本では認められているか」、「認められているとしたら、何と何を兼ねることができるか、具体的な役職」で答えよという問6。公民が苦手な子には、そもそも何が問われているのかがわからなかったことだろう。 〔二〕は東北地方の歴史。5つのリード文が与えられ、空欄補充の後、設問が続くというお馴染みの形式。昨年程(幕末以降しか問われなかった)ではないものの、近現代史が重要になることに変わりはない。空欄補充は「平泉・紅花・靖国神社・国会開設・地租軽減・国際連盟・小作」等々。さらに、社会(歴史)が多少苦手な子には、「都から地方に役人を派遣して治める政治のしくみが生まれたのは何という出来事の結果ですか」から「大化の改新」という解答を導き出すのは楽なことではない。ストレートな設問だけではなく、このちょっとした変化球に対応するためには、単なる暗記では太刀打ちできないことは言うまでもない。 〔三〕は10ある説明から都道府県を推察し、空欄の山地・山脈・川・平野・海岸・半島名等を埋め、代表的な伝統工業とその都市名、位置を問う。北上(高地)・三陸(海岸)・南部鉄器・盛岡とその位置という具合。基本的事項ではある。しかし、2番迄で時間を費やしていたら、おもわぬミスを誘発するだろう。 今年度の問題は難易度の低いものから高いものまでバランスよく配置され、社会の実力がそのまま反映されるテストになっている。合格しようと思うなら、「苦手」という言葉は禁句。JGの社会はスピードとパワーが必要だが、それを身につけるためには、地理・歴史・公民分野すべての分野の基礎が定着していることが必須。そして、社会的事象への興味、学習内容への深い理解が求められる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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